適応障害になった時、会社で仕事し続ける毎日はとても辛いものとなります。ましてや周りからの理解が得られず「甘え」「嘘」「大袈裟」「逃げ」など心無い言葉を浴びせられることも多々あります。それだけ辛いなら退職すればいいだけの話!と思う方も居るでしょう…
しかし適応障害になると環境に適応できなくなるため、どうしたいか、どういう状況なのかということが上手に説明できなくなるのです。
そこで今回は「適応障害になったから会社を退職したい、でも自分では言い出せないし伝えられない…」そうなってしまった場合どうすればよいのか、それでも退職する事は可能なのかという点について退職の上手な伝え方や退職に向けての注意点などについてご紹介していきます。
適応障害で退職する時の上手な伝え方
勤務期間の長さやキャリアに関わらず、退職の申し出は言い出しづらく神経をつかう問題です。しかし自分の将来を少しでも明るい方へ進めるには会社側に伝えなくてはなりません。ではどの様に伝えるとなるべく波風を立てることがなく円満退職へと向かうことが出来るのでしょうか。
どの様にすれば相手に上手に伝えることが出来るのかという点についてご紹介します。
退職を伝える方法は主に4通り
退職を申し出るとき、どのような手段があるのでしょうか。伝えるときの方法について詳しく見ていきましょう。
(1):出社して上司に直接伝える
一般的に多いのが直属の上司に直接伝える方法です。直接伝える時は事前にアポを取り、上司の忙しい時間は避けられるようにしましょう。アポを取ることでしっかりと時間を確保してもらうことができ、確実に退職したい旨を伝えることが可能となります。
・繁忙期はなるべく避ける
・大切なプロジェクトの最中は避ける
・退職の直前に伝えるのはマナー違反
※社内規則を確認しよう・まずは直属の上司に伝える
(2):電話やメールで伝えてもOK
適応障害の症状が重く、出社するのが辛い、会って話すのは難しいなどの場合は電話やメールで伝えることも可能です。直接伝えるのが一般的とはされていますが、電話やメールで伝えてはならないという決まりはありません。
しかしあなたの状態や症状を把握できていなかった場合、電話やメールで済ませてしまうとやはり上司が不快に感じることもあります。円満に退職を進めるためにも伝えるときは直接伝えられなかったことへのお詫びをしっかりと伝えるようにしましょう。
【電話で伝えるときの例文】
お疲れ様です。〇〇です。
お忙しい時間に申し訳ございません。
この度お伝えしたいことがありお電話させていただきました。
急なご連絡となり大変申し訳無いのですが、一身上の都合により○月末をもち退職させていただきたいと考えております。
体調不良により長い間お休みをいただきご迷惑をおかけした上に、突然の申し出でとなり大変申し訳ございません。
仕事復帰を予定しておりましたが現在も出社困難な状況が続いており主治医とも相談した所、当面の間は静養が必要とのことでした。
本来であれば出社して直接お伝えすべきことですが、お電話という形になってしまい誠に申し訳ございません。
身勝手な申し出で恐縮ではございますが、ご検討頂けますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
【メールで伝えるときの例文】
タイトル:退職のお願い
(上司の名前) さん
お疲れ様です。◯◯(自分の名前)です。
お忙しいところ申し訳ございません。またお休みを頂きご迷惑をおかけしております。
突然のご連絡で大変恐縮ではございますが、勝手ながら一身上の都合により〇月末をもちまして退職させていただきたくメールを差し上げました。
体調不良が続いており仕事に復帰できる目処が未だ立っていない状況でございます。主治医とも相談し当面の間静養が必要とのことでしたので、退職を決意いたしました。
身勝手な申し出で大変恐縮なのですが、出社が困難な状況であるため退職日までは有給休暇を頂きたいと存じます。
本来ならば直接お伝えすべきことでしたが、体調不良により出社するのが困難な状況にあるためメールでご連絡させていただきました。急なことで大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご検討頂けますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
電話やメールで退職を伝えた時に会社から「一度出社してほしい」と言われることがあります。
出社の目的は様々ですが、退職に関するヒアリングや退職に向けての必要な手続きを行うのが目的である場合が多く、その時はなるべく誠実に対応しましょう。
しかしパワハラを受けている場合や体調不良でどうしても出社することが困難である場合は、必要書類の郵送での対応が可能であるかを確認し、可能であるならそちらで対応してもらいましょう。
ブラック企業であれば出社した時に強い引き止めにあう可能性もあります。そういった場合は労働局の労働相談コーナーや弁護士、退職代行などに相談することを検討してみましょう。
(3):退職届を郵送で送付する
退職届を郵送する時は事前に郵送する旨を伝えておきましょう。伝える手段は電話やメールで構いません。直属の上司、もしくは人事担当者へ連絡しましょう。
しかし円満退職しないで退職するのであれば事前連絡は控えたうえで郵送しましょう。円満退職しないという事は会社との関係性はあまり良好でないことが多いです。事前に連絡してしまうとあなたからの郵便物を全て受取拒否される恐れがあります。
退職届や添え状の書き方については以下の記事で詳しくご紹介しているのでそちらを参考にしてください。
(4):退職代行サービスに依頼
・出社できる状態ではない
・ブラック企業で話が通じない
・円満退職を目指していない
・訴訟に発展する可能性がある
上記のような状況にある場合は退職代行の利用を検討するという手もあります。
本来退職の申し出は、可能であれば自らが直接伝えるのが一番好ましい形ではあります。しかし全てのケースがそうはことが運ばないのが現実でもあるのです。自力ではどうにもならないという場合は、第三者の力を借りることもまた大切な決断でもあるのです。
現在苦しい状況下で踏ん張っているならば、自分が壊れてしまう前に無料相談を検討してみてはいかがでしょうか。
退職理由の上手な伝え方
では直接上司に申し出る場合、どの様に伝えると角が立たず円満退職へと迎えるのでしょうか。退職すると言ってもそれまでお世話になった会社でもあります。
自身が円満退職を目指している場合、相手に感謝と敬意を払いつつ自身の思いを伝える必要があります。では相手を不快にさせない上手な伝え方について見ていきましょう。
理由は「一身上の都合により退職したい」で問題なし
退職理由は「一身上の都合により退職したい」という文言で問題ないでしょう。この文言は退職時に一番用いられるものです。もし体調不良が原因で退職を決意した場合、病名を明かしたくなければ同じく「一身上の都合により」を用いて伝えましょう。
万が一、体調や病名について深く聞かれることがあれば無理のない範囲で現在の症状や業務に与える悪影響について伝えるとよいでしょう。病名を伏せたい場合は無理に病名を伝える必要はなく、このまま続けると業務にどういった影響を及ぼすかという点について加えて説明すると納得されやすいです。
・思考力や集中力が低下していて業務に支障を来す
・ワケもなく強い不安を感じ仕事でもミスが続いている
・倦怠感、食欲不振、頭痛、腹痛、不眠など体調不良の症状
適応障害で退職後の過ごし方
適応障害により退職した後はどの様に過ごすと良いのでしょうか。復職や転職までを視野に入れた過ごし方を見ていきましょう。
適応障害には休養が必要
まずはしっかりと休みましょう。
周りからは症状や状態が分からず、なかなか理解してもらいにくい適応障害。症状が一様ではないのも理解が進まない要因の一つとなっています。本当の辛さを分かってもらえないため、退職も苦労する方が多くいらっしゃいます。
そんな適応障害はしっかり休養を取ることとストレス負荷の軽減を図ることがとても大切となります。甘えや逃げと捉えられがちでもある適応障害ですが、まずは自分のためにもしっかりと休養することを心がけましょう。
心が回復すれば再就職も可能に
十分に休養を取りバランスの取れた食事が食べられるようになる、十分に眠ることができる、適度な運動や活動ができる様になれば復帰へと少しずつ動き出す調整をしてみましょう。
ですが急ぎは禁物です。同じ職場へ復職したり他の職場へ転職したりと方法は様々ですが、どんな環境でもストレスを感じる可能性は十分にあり、適応障害を再発するリスクを持っています。
少しでもストレスを軽減できる自分に合ったワークスタイルを見つけると良いでしょう。
適応障害で退職した後の支援制度
適応障害で退職したのはいいけど、後の生活に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。適応障害は公的な支援制度が充実しています。退職後にどのような支援を受けられるのか見ていきましょう。
適応障害でも受けられる公的支援制度
適応障害で退職した場合、充実した公的支援制度があなたをサポートしてくれます。
・傷病手当金
・失業手当
・特別障害者手当
・障害者手帳の交付
・自立支援医療制度
・就労移行支援事業所の利用
自分が受けられる公的支援制度が分かれば、離職後の生活に関する不安が少し軽減されるでしょう。
退職でなく休職という選択も
適応障害であるからと必ずしも退職を選ぶ必要はなく、休職という選択肢も視野に入れましょう。しかし休職制度は法律的な制度ではないため、取り入れていない会社もあります。休職制度の有無を確認しておくと安心して申請することができます。ただし、休職制度は取り入れていても休職中は給料の支払いがないという会社が多くあります。そのため休職中は傷病手当金の給付などを受けるケースが多いです。しかし給料支払はなくても社会保険料の支払いは免除されないため注意が必要です。
適応障害で退職する時の注意点
適応障害を理由に退職するときでもしないほうが良いことがあります。自分に不利になったり適応障害の症状を悪化させる可能性もあります。しないほうが良いことを順番に見ていきましょう。
バックレはしないで
適応障害はとてもつらいです。会社に行きたくない、人に会いたくない、話をしたくないなど様々な要因が重なってバックレたくなる気持ちもあるでしょう。しかし実際にバックレてしまうとかなりのリスクを背負うことになります。バックレは適応障害の症状も悪化させる恐れがあるのです。
・上司や会社から鳴り止まない電話や山のように手紙が来る
・同僚や上司が突然家まで訪ねてくる可能性
・あまりにも連絡が取れないと実家に連絡が行くリスク
・連絡を無視し続けると最悪「解雇」になる可能性も
鳴り止まない電話や山のように届く手紙、会いたくない人たちの突然の自宅訪問は症状を悪化させるものばかりです。解雇まで発展してしまうと、後の就職活動にも悪影響を及ぼすこととなります。退職日するまではバックレずに連絡が取れる状態にしておくことをおすすめします。
途中で会社や同僚・上司と関わるのが困難になる場合も十分に考えられます。退職の申し出や退職手続きは自分が思っているより強いストレスを感じるものです。
現時点で症状が悪い場合や気持ちや症状が不安定である場合は、あまり無理をせず退職代行サービスを利用することも検討してみてください。相談だけなら無料でも利用できます。
無断欠勤すると自分が不利になる
無断欠勤もバックレと同様におすすめしません。退職を申し出た後、出社が辛くなり欠勤したくなる気持ちは分かりますが、無断欠勤は避けたほうが良いでしょう。
あまりにも無断欠勤が続くと解雇扱いとなる可能性もあります。退職を申し出た後に取捨したくない場合は有給を使用したりきちんと連絡をして欠勤扱いにしてもらいましょう。
有給休暇の残日数を確認しておこう
適応障害が原因で退職した場合は退職日まで有給休暇を消化しながら過ごすと良いでしょう。そのためには自分の有給休暇残日数を確認しておいたほうが良いでしょう。退職を伝えた時に「退職まで有給を利用して休みたい」と申し出ましょう。退職は原則2週間前までに申し出れば良いことになっています。有給の残日数が2週間以上ある場合は退職日まで十分に有給休暇を使用して休むことが可能です。
まとめ
いかがでしたか?
今回は「適応障害になったから会社を退職したい。でも自分では言い出せないし伝えられない…そうなってしまった場合どうすればよいのか」という点について重点的にご紹介してきました。
適応障害はなかなか周りから理解してもらいにくい病気です。本人の辛さとは裏腹に心無い言葉や冷たい態度を取られることも多々あります。そういった心を削られる毎日から抜け出したいと思うことは決して「逃げ」でも「甘え」でもありません。
今の辛い環境から少しでも早く距離を置き、まずはあなたの心と身体をしっかり休ませてあげてください。
この記事が悩んでいる少しでも多くの方の参考になれば幸いです。今回も最後までお読みいただきありがとうございました。