会社でパニック障害発症。仕事への影響とその後の生活|支援制度も紹介

会社に勤めている人がパニック障害を発症した場合、仕事はどうなるのでしょうか?

パニック障害になると休職や退職をすべきなのか、仕事を続けながら治療をすることは出来ないのか…。など不安に駆られるのは無理もありません。実際に筆者はパニック障害を発症したため会社で仕事を続けることは困難になり退職という道を選び休養することになりました。

当然すぐに退職できるケースばかりではなく、なんとか仕事を続けながら治療をと考える人も多いのではないでしょうか。今回はパニック障害による会社や仕事への影響や仕事を続けながら付き合っていく方法などについてご紹介します。

パニック障害を発症すると受けられる支援サービスやサポートしてくれる機関についてもご紹介するので、発症後の生活を少しでも安心して過ごせるように確認しておきましょう。




パニック障害について


パニック障害とは突然発作に襲われパニックに陥る病気です。今でこそ周知が進んできているパニック障害ですが、少し前までは知らない人が多い病気でもあったためパニック障害により辛い思いをした人も多いのが現状です。

ではパニック障害とはどのような症状があり、生活や仕事にどのような影響があるのでしょうか。順番に見ていきましょう。

パニック障害の症状


パニック障害には「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」という3つの症状があります。それぞれどのような症状なのかを詳しく見ていきましょう。


(1):パニック発作

パニック障害にはパニック発作という症状があり以下のような発作に襲われることが多く、これらの発作に対して命の危険に脅かされているように感じるためパニック状態に陥ってしまうという症状です。

実際には命の危険はなく、10分程度をピークに発作は落ち着きます。しかしこの発作が原因で職場に居づらくなり、退職を余儀なくされたというケースも少なくありません。

【パニック症を襲う発作症状】

・動機やめまい

・呼吸困難

・窒息感などの息苦しさ

・手足が震える

・吐き気  など



(2):予期不安



パニック障害の2つ目の症状が予期不安です。これは「またパニック発作を起こすのではないか」という不安や恐怖に襲われることを言います。この予期不安が強くなるとパニック発作の引き金となってしまい悪循環が生まれてしまうのです。

(3):広場恐怖



パニック障害3つ目の症状は広場恐怖です。広場恐怖はすぐに逃げ出せない場所に恐怖を感じる場合を指します。広場恐怖を発症すると重度の場合は交通機関や公共施設は利用できないため、必要最低限の場所のみの外出となるでしょう。

パニック障害による生活への影響


パニック障害による発作が起きてしまった場合、今の生活や仕事環境にどの程度影響を及ぼしてしまうのでしょうか。パニック障害により抱える不安や弊害について見ていきましょう。

外出が困難


パニック障害の発作は封鎖的な場所で起こりやすいとされています。「逃げられない」と感じる場所は発作が出やすいため避けながら行動しなければなりません。外出先では封鎖的な場所を避けられないことも多いため外出自体が困難となるのです。


【パニック発作が出やすい場所】

・エレベーター

・電車やバス(交通機関)

・美容院や映画館

・トンネル

・人混み


突然の発作


パニック障害の発作は突然襲ってきます。しかも実際にはない命の危険を感じパニック状態へ陥ってしまいます。動悸や息苦しさを始め「死ぬのではないか」と感じるほどの恐怖の中に身を投じる事となります。

パニック発作は予期することは難しく、発作になりやすいと感じる場所やシチュエーションを回避したとしても発作が起きてしまいます。

当事者は「またあの発作が起こるのではないか」という不安を抱え、その不安がパニック発作を引き起こす引き金になってしまうのです。


周囲から理解を得られない



今でこそ知られることが多くなったパニック障害ですが、まだまだ発作などを目の当たりにした時に理解されないことが多々あります。精神的な病気であるため傍から見ればその苦しさや痛みは理解されにくいのです。

「ちょっと大袈裟なのでは?」「本当にそんなに苦しいの?」「構ってほしいだけなんじゃ…」「嫌なことから逃げ出したいだけ」など心無い言葉をかけられることも少なくありません。

周囲に理解を求めるのはまだまだ難しく、説明しても分かってもらえないことが多いのです。また当事者も「甘えが原因なのではないか」と感じている人が多いため同僚や上司、仲間に話すのを躊躇するというケースも少なくありません。そのことが原因で周囲と上手に関係性を築くのが難しく馴染めないというのが現状なのです。


他の病気などへ移行


パニック障害は発作が起こるのを避けて行動しようとするため、外出回数の減少や人との関わりも減少していくことが多くあります。そうした経過をたどることでうつ病や引きこもりに移行してしまうことも少なくありません。パニック障害の症状に一律性はなく疾患を持っている人はそれぞれ発作状態や発作の継続時間が異なってきます。

パニック障害とは長く付き合い根気のいる治療が必要な病気でもあります。しっかりと向き合いまずは自分を分かってあげることが大切なのです。


会社でパニック障害の発作が起きた時の仕事への影響


では会社での業務中に発作が起きてしまった場合はどうなるのでしょうか。仕事へ与える影響などについて見ていきましょう。

業務に支障をきたすことも



パニック障害の発作は突然起こります。業務中、打ち合わせ中、会議中、プレゼン中など場所や時間は関係ありません。なので、当然業務に支障をきたすという事が起こりうるのです。デスクワーク中や休憩中ならまだしも大事な業務の途中で発作が起きてしまうと周囲も驚き、また業務を続けることが困難になるのは容易に想像できます。

そういったことが続いてしまうと責任あるポストから外されてしまったりお客様と直接やり取りする業務から外されてしまうということが起こりうるのです。パニック障害があるという場合は事前に上司や先輩、同僚などに相談するとなにか解決策が得られるかもしれません。

休職を検討する



あまりにも頻繁に発作が起きるようであれば一度休職を検討してはいかがでしょうか。職場環境に満足している場合、離れるのはとても勇気が要ることで復職への不安もあるでしょう。しかし頻繁に発作が起きてしまう場合、職場や職場仲間にも迷惑をかけることとなってしまいます。

まずは少し休んでしっかりと心のケアをすることが大切です。パニック障害は責任感が強い人やとても真面目な人がなりやすい病気とされています。

休職中の同僚への負担を考えると心を痛めるかもしれませんが、自らを責めてはいけません。休むことが職場復帰への第一歩だと思ってしっかりと休養するようにしましょう。



パニック障害でも会社で働き続ける方法


ニック障害になっても会社で働き続けることは出来るのでしょうか。自責の念に駆られ自分の不甲斐なさにやりきれなくなることが多く心を痛めやすい病気ですが、上手に付き合うことで休職や退職をせずに今の会社で働き続けることができます。

ではどういった方法があるのか順番に見ていきましょう。

業務内容を調整する


いま携わっている業務内容の変更が可能である場合はぜひ相談してみましょう。在宅ワークや部署変更など業務形態を変更することで症状が軽減することも考えられます。いまの業務内容が合ってない場合やストレスになっている場合は上司に相談してみましょう。

通勤時間を変更する


電車やバスなど閉鎖的、尚且つ人混みというシチュエーションから通勤途中にパニック発作を起こす方も多くいらっしゃいます。もし可能であれば通勤時間を変更してみましょう。理解のある会社に努めている場合は上司に相談し出勤時間を調整してみましょう。

もし相談できない場合であれば、可能な限り通勤ラッシュを避けられる時間へと通勤時間を調整してみましょう。発作が起こりやすい条件を回避することで発作のリスクを軽減できるのです。

席配置を変更してもらう


デスクの配置を変更してもらうだけでも発作リスクは軽減されます。封鎖的な場所を苦手とするパニック障害なので、会議室や入り口から遠くの席はなかなかリスクが高まります。

席の配置を出入り口付近へ変更してもらうだけでも不安が軽減され発作を起こすリスクが少なくなります。もし席配置に不安を覚えている場合は変更が可能であるか相談してみると良いでしょう。



パニック障害の方が利用できる支援機関


パニック障害と診断された場合、不安が尽きることはありません。少しでも不安を軽減し治療を進めながら社会で生きていくために、障害を持つ人が利用出来る機関があります。

自分が目指す未来を実現させるためにもこれからご紹介する支援機関を十分に活用してみてください。

ハローワーク


ハローワークでは障害者専門の窓口が設けてあります。専門知識を持った支援員が配置されているハローワークもありますので、職業相談や履歴書作成のアドバイスなどを受けることが可能です。

もちろん一般枠での就職活動も可能なので、自分の状態と体調に合わせて、担当職員と相談しながら進めることをおすすめします。

就労移行支援事業所


就労移行支援事業所はパニック障害などの障害や難病を抱えている方を対象に就労をサポートしてくれる事業所のことです。働きたくても働けないという環境下でも就労に必要なスキルや知識の習得をサポートしてもらえます。就労支援として就労前・就労時・就労後でそれぞれの段階で必要なスキルや知識を習得できるのが特徴の一つです。

基本的には無料で利用できるサービスですが、稀に利用料が発生する場合もあるので詳細が知りたい場合はお近くのハローワークに相談されると良いでしょう。

ポイント

✓ 対象年齢は18歳~64歳まで(65歳未満が対象)

✓ 障害や難病をお持ちの方が対象

✓ 職業訓練や就職に関する相談などができる

✓ 一般企業への就労を希望していて、実際に就労が可能な方



地域障害者職業センター



地域障害者職業センターとは障害を持っていても自立して就業したい人を支援してくれる施設です。各都道府県に最低1箇所の設置が義務付けられています。


この施設ではその人に合った職場環境や職業を分析したり就業のために必要な準備をサポートしてくれます。障害者だけでなく事業主に対しても障害者雇用の管理などの相談や援助を行ってくれます。



障害者就業・生活支援センター



障害者就業・生活支援センターは障害者の自立を支援するために設置されており、障害者が「働きたい」と思った時に何から始めたらいいのかを行政機関や各関係機関と連携しながら支援してくれる機関です。

専門の支援員が「働くため」「勤続するため」「自立した生活を送るには」といった障害者が前に進むたびに抱える不安などの相談に応じるなど、様々な支援活動を行っています。







パニック障害の方が利用できる支援制度


パニック障害と診断されると受けられる支援制度があります。パニック障害を抱えていても少しでも安心して生活できるように設けられた支援制度なので受給要項などを確認し活用すると良いでしょう。

障害者手帳



障害者手帳の交付はパニック障害でも受けることが出来ます。障害者手帳には「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の3種類があり、パニック障害の場合は「精神障害者保健福祉手帳」の手帳を交付されることとなります。

精神障害者保健福祉手帳には等級が定められており、この手帳の交付を受けることで該当する等級に応じた福祉サービスを受けることが可能となります。福祉サービス以外にも転職や就職に関するサポート支援を受けることが出来るためパニック障害と診断された場合は申請することをおすすめします。

ポイント

✓ パニック障害も交付対象

✓ 手帳の有効期限は2年間

✓ お住まいの市町村の保健福祉課などが担当

✓ 交付までには約2ヶ月掛かる



障害年金



障害年金とは所定の障害を患った時に支給される公的年金を指します。現時点ではパニック障害の診断では障害年金の対象外となるため受給することが出来ません。しかしうつ病や総合失調症など例外となるケースもあるため、悩まれている場合はお住まいの市町村にある担当窓口にご相談することをおすすめします。

ポイント

✓ パニック障害は原則対象外

✓ 例外的に対象となる場合もある

✓ 相談はお住まいの市町村窓口まで


生活保護



生活保護とは「健康で文化的な最低限度の生活」を保証するために設けられている公的扶助制度を指します。あらゆる理由で生活が困窮し生きていくことに困っている人たちを援助してくれます。生活保護の受給には一定の条件があるので事前に確認しておきましょう。


会社を退職してしまいパニック障害が原因で就職できずに困っている方は、お住まいの自治体の福祉事務所まで詳細をご確認ください。

【生活保護を受給する条件】

◇ 持ち家や車などの資産を保有していない

◇ 国が定める最低生活費を下回る収入である

◇ 三親等以内の親族から支援をしてもらえない

◇ 病気や怪我で終了できず生活が困窮している

◇ 公的な融資制度や扶助を利用できない



傷病手当金



パニック障害で休職することになった場合、傷病手当金の受給対象となるので申請を行いましょう。支給される額は概算で給与の2/3程度の額と言われています。傷病手当金は正社員だけでなくパート、アルバイト、契約社員、派遣社員も対象となっているので受給条件を確認した上で申請するようにしましょう。


【傷病手当金を受給する条件】

◇ 勤務先が加入している健康保険の被保険者であること

◇ 業務外での病気や怪我で療養中である

◇ 働けない状態であると医師の診断が必要

◇ 連続する3日間を含め4日以上休んでいる

◇ 勤務先からの給料の支払いを受けていない。または支給額が傷病手当より少ない



自立支援医療制度



自立支援医療制度とは心身に障害を受けた場合に必要な医療費の自己負担額軽減を目的として設立された、公費負担医療制度です。

自立支援医療には「精神通信医療」「更生医療」「育成医療」の3種類があり、認定を受けると指定医療機関による医療費の自己負担割合が1割になります。有効期限は1年となっているので更新の場合は申請が必要です。詳細はお住まいの区市町村の担当窓口までお問い合わせください。


【自立支援医療制度の対象者】

・精神通院医療:統合失調などの精神疾患を有しており、通院による精神医療お継続的に必要とする人

・更生医療:身体障害者手帳の交付を受け、その障害を除去・軽減する手術などの治療に確実に効果が期待できる人(18歳以上)

・育成医療:身体に障害を有する児童で、その障害を除去・軽減する手術などの治療により確実に効果が期待出来る人(18歳未満)

※厚生労働省ホームページ参照



【自立支援医療制度のポイント】

・自己負担割合が1割になる

・有効期限は1年なので更新には申請が必要

・利用は指定医療機関に限る



まとめ



いかがでしたか?今回はパニック障害を発症した場合の会社や仕事への影響や受けられるサポートについてご紹介してきました。

実際にパニック障害により退職し現在を過ごしている筆者も、パニック障害と同時に複数の疾患を発症してしまったため勤め続けることが困難となりました。精神疾患の治療には時間が必要です。この痛みや苦しみを分かってもらうことがなかなか難しいため、自責の念に駆られる人も少なくないでしょう。

でもまずは自分の心身が大切です。行政や周りのサポートを受けながら、まずは心と身体をゆっくり休ませてあげてください。

この記事が悩んでいる少しでも多くの方の参考になれば幸いです。今回も最後までお読みいただきありがとうございました。






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