新卒社員が入社したばかりの会社を早期に退職することは、近年増加傾向にあります。新卒の早期離職には様々な理由があり、時には「甘え」と見なされることもあります。しかし、実際の背景や事情を知ることで、早期離職は必ずしも「甘え」ではないことが分かります。このブログでは、新卒者の早期退職の実態と背景、その理由、そしてメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
1. 新卒で辞めるのは「甘え」なのか?早期退職の実態と背景
多くの新卒者が早期に退職を考えることは、一種の「甘え」と見なされることがありますが、実際の退職実態とその背景を考えてみましょう。
早期退職の実態
厚生労働省のデータによると、新卒者の約3人に1人が入社後3年以内に退職しています(新規高卒就職者で36.9%、新規大卒就職者で31.2%)(出典: 厚生労働省|令和3年10月22日「新規学卒就職者の離職状況を公表します」)。
早期退職の背景
以下の要素が、早期退職の一因として考えられます。
- 労働条件の悪さや過労、ストレスによる心身の負担
- 職場環境の悪さや人間関係の不満
- 仕事の内容ややりがいの不足
- 給与やキャリアプランの不満
これらの要素が新卒者にとって大きなストレスや不満を引き起こし、早期退職の選択をさせる要因となっています。
早期退職は「甘え」ではない
上記のデータからも明らかなように、新卒者が入社後1年目で退職することは珍しくありません。自分の将来やキャリアに真剣に向き合い、自分自身に合った職場を見つけることは非常に重要です。早期退職を選ぶ場合には、メリットとデメリットを十分に考慮する必要があります。現状を客観的に見つめ、冷静に自己評価を行うべきです。自分に合った選択をし、後悔のない人生を送るためにも、早期退職に対しては慎重に判断することが重要です。
2. 新卒が会社を辞めたくなる3つの理由
新卒で入社後、多くの人が一度は「会社を辞めたい」と感じたことがあるのではないでしょうか。新卒者が辞めてしまう理由としては、主に以下の3つが挙げられます。
1. 仕事内容が合わない
新卒者が仕事を辞める理由の一つは「仕事の内容」です。入社前に思い描いていた仕事と実際に任される仕事の内容がかけ離れていたり、希望する部署に配属されなかったりといった「現実と理想のギャップ」が退職につながりやすい傾向にあります。
仕事内容とのミスマッチを防ぐために、インターンシップなどで会社の実態を事前に把握することが重要です。しかし、それでも完全にミスマッチを避けることは難しいですし、入社直後は上司に相談しにくい場合もあります。このような場合、自分が働きやすい環境を求めるために転職を考えることもあるでしょう。
2. 人間関係が悪い
同僚や上司との人間関係に不満を抱くことも退職の理由として挙げられます。パワーハラスメントやその他のハラスメントが原因で人間関係が悪化することもあります。
パワーハラスメントがなくても、些細なトラブルや他の人間関係の悪化に巻き込まれることもあります。人間関係が円滑に進まない状況では、自分自身がストレスを感じてしまうでしょう。
3. 労働条件が悪い
労働条件が悪い場合も、新卒者が会社を辞める理由となります。長時間労働や残業が多くなだれ込まれるだけでなく、それが強制的である場合は、メンタル面に悪影響を及ぼす可能性が高くなります。労働時間において、労働基準監督署が企業への指導を行うこともありますが、通報や相談などの手続きを経ているため、改善までに時間がかかることがあります。
給与面でも不満がある場合もあります。残業にもかかわらず残業手当が支払われない「サービス残業」が横行している場合は、経済的・体力的にも負担を感じることでしょう。
以上が新卒が会社を辞めたくなる主な理由です。これらの理由に該当する場合、転職を検討することもひとつの選択肢となるでしょう。
3. 新卒で転職するメリット: 新しい挑戦とミスマッチ防止
新卒で入社した会社を早期に辞めることには、いくつかのメリットがあります。若さを活かして新しい仕事に挑戦できる他、次の転職先を選ぶ際には自身の希望や退職理由を考慮することで、ミスマッチを防ぐこともできます。
以下に新卒で転職するメリットの詳細をご紹介します。
新しい仕事に挑戦しやすい
新卒で入社した会社を早期に辞めることは、新たな仕事に挑戦するチャンスとなります。特に未経験の仕事への転職を考える場合、柔軟性や成長ポテンシャルの高さが求められます。経験の浅い新卒者は、特定の方法や考え方に囚われず新しいことを積極的に吸収する能力を持っているため、大きな魅力となります。
ミスマッチを防げる
新卒で入社した会社を辞める際には、退職理由を考えることが必要です。この退職理由をもとに、次の転職先で求める条件や希望の仕事を選ぶことができます。例えば、労働条件が合わないという理由で辞めた場合、次の会社では自分が求める労働条件を重視して探すことができます。また、仕事内容に合わなかったという理由でも、自身に合った仕事内容を重視して選ぶことができるため、ミスマッチのリスクを低くすることができます。
第二新卒として評価される
新卒入社した企業を3年以内に辞めたり転職を考えたりする若年層は、「第二新卒」と呼ばれます。第二新卒は短期間でも就職経験があるため、基本的なビジネスマナーやビジネススキルを持ち合わせています。そのため、採用企業は基礎の研修を省くことができるため、コスト削減が期待できます。また、若さと将来的な長期的な勤務を期待されるため、若手が少ない業界や人手不足を抱える企業も積極的に第二新卒の採用を行う傾向があります。
4. 新卒で転職するデメリット: 不信感や不採用のリスク
新卒で会社を辞めることには、いくつかのデメリットやリスクが存在します。以下にその一部を紹介します。
4.1 不信感を持たれる可能性がある
新卒で仕事を辞めた場合、特に1年以内に辞めてしまった場合は、選考の際に採用担当者から「またすぐに辞めてしまうのでは?」と思われてしまう可能性があります。企業は人材の採用や育成に多大な費用と労力を使っているため、早期離職する人を出したくないのが本音です。
採用担当者に不信感を持たれないためには、以下のポイントに注意しましょう:
- 早期離職の理由を的確に答える準備をする。
- 退職の原因が会社にあったとしても、会社への不満や愚痴をそのまま理由として伝えないようにする。
- 前職での問題点を転職先での成長や目標達成に向けた意欲に変換する。
これによって、採用担当者に入社後の活躍イメージを持ってもらうことができます。
4.2 失業手当がもらえない場合がある
転職活動をする前に退職してしまった場合や転職するまでにブランク期間がある場合は、失業手当を期待するかもしれませんが、一定の条件を満たしていないと受給できません。
失業手当は新卒入社から1年未満で退職する場合には受給できないことが多いです。これは雇用保険の加入期間が通算12ヶ月に満たないためです。
失業手当は離職前の給与の50〜80%程度であり、最長で3ヶ月分を受け取ることができます。ただし、倒産や会社都合の解雇などの特定の事情による場合は、入社1年未満の新卒社員でも失業手当を受け取ることができる場合があります。
失業手当が受け取れない場合、会社を辞めてからしばらく失業期間が続く可能性があるため、経済的な不安が大きくなるかもしれません。
これらは新卒で転職する際に注意すべきデメリットやリスクの一部です。新卒で会社を辞める場合は、これらのデメリットやリスクを考慮し、慎重に判断することが重要です。
5. 新卒で退職すべきか迷ったら?退職を見送る3つのケース
新卒でありながら、会社を辞めたいと感じる方は多いですが、退職を決断する際には慎重に考える必要があります。以下では、退職を見送るべき3つのケースについて解説していきます。
1. 退職理由が明確に決まっていない人
退職を考える場合、退職理由が明確にないまま辞めてしまうことは避けるべきです。なぜなら、退職後に以下のような問題が発生する可能性があるからです。
- 収入が激減し生活に支障が出ることがある
- 転職活動がうまく進まず、雇用されない可能性がある
- 辞める癖がついてしまい、次の雇用先に信頼されないことがある
仮に退職理由が明確でないまま転職しても、採用側は「またすぐ辞めるだろう」と思うため、雇用される可能性は低くなります。また、やりたい仕事とは限らないため、すぐに辞めてしまうこともあります。転職を繰り返すことは企業にとってリスクであり、不採用になるケースがほとんどです。退職理由が明確に決まっていない場合は、なぜ辞めたいのか冷静に考える必要があります。
2. 人間関係だけがつらい人
人間関係が辛くて退職を考える方もいますが、すぐに辞めるのはおすすめしません。なぜなら、人間関係の問題は解決する可能性があるからです。例えば、人事異動や信頼できる上司や同僚に相談することで、部署異動などの対策を行ってもらえるかもしれません。
人間関係の問題だけで辞めてしまうと、同じような問題を抱えた仕事に転職できるかどうかは保証されません。将来的に退職を後悔する可能性もあります。したがって、人間関係が辛い場合は、できるだけ対策を実施して問題解決を図るべきです。それでも変わらない場合は、転職活動を考えるようにしましょう。
3. 仕事内容だけが合わない人
仕事内容が合わないと感じる場合も、すぐに辞めるべきではありません。なぜなら、時間が経つにつれて徐々に仕事に慣れていくこともあります。新卒の場合、社会人経験が少ないため、最初は慣れるまで時間がかかることが一般的です。
仕事内容が合わないと感じる場合は、まずは自分で改善策を考えて実施し、それでも改善しない場合に退職を検討することをおすすめします。転職の面接で対策をしたかどうかという質問がある場合は、嘘をつかずに回答できるよう準備しておきましょう。すぐに辞めるのではなく、自分で対策をしてから退職の決断をすることが重要です。
これらのケースを踏まえて、自身の状況を冷静に考え、退職を見送るべきかどうかを判断することが重要です。退職を急ぐ前に慎重に選択し、後悔のない道を歩むようにしましょう。
まとめ
新卒で会社を辞めることには、様々なメリットとデメリットが存在します。若さを活かしてキャリアチェンジできる可能性や、ミスマッチを防ぐことができるというメリットがある一方で、不信感を持たれたり失業手当が受けられないというデメリットもあります。そのため、退職を検討する際は慎重に判断し、退職理由が明確で、人間関係やミスマッチの改善に取り組んでも変わりがない場合に限り、退職を選択することが重要です。新卒で転職する際は、自身のキャリアと生活設計を十分に考え、後悔のない決断を下すことが大切です。
よくある質問
新卒で辞めるのは本当に「甘え」なのですか?
新卒での早期退職は珍しいことではありません。労働条件の悪さやストレス、職場環境の悪さ、仕事内容の不満といった要因が早期退職の背景にあります。早期退職を「甘え」と見なすのではなく、自分にとって最適な選択をしようとする姿勢として捉えるべきです。
新卒で会社を辞めたい理由には何がありますか?
新卒者が会社を辞めたくなる主な理由は、仕事内容がマッチしていない、人間関係が悪い、労働条件が悪いといったことが考えられます。これらの理由に該当する場合は、転職を検討することも一つの選択肢となるでしょう。
新卒で転職するメリットは何ですか?
新卒で転職するメリットには、新しい仕事に挑戦しやすいこと、前職での経験を活かしてミスマッチを防げること、「第二新卒」として採用企業から評価されることが考えられます。
新卒で転職するデメリットやリスクにはどのようなものがありますか?
新卒で転職する際のデメリットやリスクには、採用担当者から不信感を持たれる可能性があること、失業手当が受け取れない場合があることなどが考えられます。これらのデメリットやリスクを考慮し、慎重に判断することが重要です。
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